日興コーディアルグループの株式とシティグループの株式で裁定取引は可能か?

日興コーディアルグループの株価が冴えない展開となっています。
同社の株主には、1700円相当のシティグループ株式が交付されるはずなのに本日株価は1592円まで下落しています。
これだけ下落すると合併裁定取引のチャンスなのではないかと思い調べてみました。

同社のホームページにある「株式交換契約締結、剰余金の配当及び決算期の変更に関するお知らせ」から、以下のことが分かります。直接関係する部分の要点は、

(1)日興の株主には、1700円÷〔株式価値評価期間(平成20年1月15日~同年1月17日)各取引日におけるシティグループの株式の株価の加重平均価格×為替相場〕で計算した株数が交付される。
(2)ただし、上記加重平均価格が37ドルを下回った場合、加重平均価格は37ドルとして計算する。
(3)ただし、上記加重平均価格が58ドルを上回った場合、加重平均価格は58ドルとして計算する。

この(2)(3)の部分がなければ、以下の方法で日興株式とシティ株式との裁定取引が可能なはずです。
つまり、技術的な問題(3日間の加重平均で売る方法があるのかとか加重平均から算出される割り当て数量を事前に計算できない)はさておき、理論的には、
1 日興株式を1592円で購入する。
2 1で購入した日興株式に割り当てられる株式数に対応するシティ株式を株式価値評価期間にその加重平均価格で売却する。
を行えば、2の売却価格は日興株式1株あたり1700円になるはずなので、
1700円-1592円-手数料=さやとなるはずです。

しかし、実際には、(2)の条項があるために、株式価値評価期間のシティグループの株価の加重平均が例えば、37ドル×0.9=33.3ドルだったとすると、日興の株主には1700円×0.9=1530円相当のシティ株しか交付されません。
これでは、上記取引をした場合、1592円で日興株を買い、同じ価値を有するシティ株を1530円で売ることになるので逆さやになってしまいます。

実際に、シティグループの株価は、11月1日に38ドル台まで下落しており、37台割れの可能性は高まってきている状況です。

ここでもう一度(2)の条項があっても裁定取引ができないか考えます。
ようするに、シティ株式が株式価値評価期間に37ドルを割れた場合のリスクだけを取り除けばいいので、理論的には、

1 日興株式を1592円で購入する。
1´37ドル割れの損失をカバーするためにシティグループのプットオプションを購入する
1”(3)の規定により、日興株は、シティ株のコールオプションの価値を有するので、このコールオプションを売却する。
2 1で購入した日興株式に割り当てられる株式数に対応するシティ株式を株式価値評価期間にその加重平均価格で売却する。
という方法で裁定取引は可能だと思われます。
この場合、
1700円-1592円-プットオプション料+コールオプション料-手数料=さやとなるはずです。

つまり、ここにきて、日興の株価が1700円から大きく下に乖離し始めた理由というのは、シティグループの株価下落によって同社のプットオプションの価値が高くなり、日興株に含まれるシティ株のコールオプションの価値は低くなっているからと説明できそうです。

話が複雑になりすぎるので、上では触れていませんが、「株式交換についての基本契約書締結に関するお知らせ」を読むと、シティの株式価値評価期間における加重平均価格が26ドルを下回った場合、株式交換契約が解除される可能性もあるようです。
そうすると、厳密には、そのリスクもヘッジしなくてはいけません。

日興の買いとシティの売りだけの裁定であればできる可能性があるかもしれないと思い調べてみましたが、(2)の条項があるためにこの銘柄で裁定取引をするのはかなり難しいというのが私の結論です。

関係資料全部に目を通したわけではないので、間違いがあったらご指摘下さい。

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